“エコ”なお仕事や、様々な形で“エコ”に携わる人々を紹介する『エコな人インタビュー』。第3回目のゲストは、早稲田大学大学院在籍時に、大学発のベンチャー企業、株式会社 早稲田環境研究所を起業した小野田 弘士さんです。
この春、小野田さんは社長職を後進に譲り、自らは会長となりましたが、現場でバリバリ働く姿は変わらずそのまま。そんな小野田さんに、起業した当初から持ち続ける熱い情熱や、これからの日本の事など伺いました。
大学院、修士課程の2年目のときに、自分が取り組んでいる研究を、世の中に生かせる仕事をしたいと考えながら就職活動をしていたんです。そこで当時の私の指導教授で、早稲田環境研究所の母体になっている研究室の担当であり、恩師でもある永田勝也教授とそのことについて話をしたところ、どこかに就職するよりも、大学に残った方がその夢を実現できるのではないか?ということが最初のきっかけでした。
また同じ年の冬、我々が研究成果がとある企業様のニーズに応えられるのではないか?という話もあり、だったら会社を創ってしまおう!ということで早稲田環境研究所を起ち上げました。
早稲田環境研究所が守備範囲にしているのは、環境エネルギー分野でのコンサルティング業務です。通常のシンクタンクや、コンサルと大きく違うのは、ベースに大学で培った技術やシーズを持っていること。それによって他社よりも、一層深いコンサルティングができるという強みがあります。多くの企業は、このようなご時世でも環境エネルギーに対しての考えはまだ深くは浸透しておらず、仕事として成立させるには、世の中に刺激を与えながら同時にマーケットも自分で開拓するという、いわゆるインキュベーション(起業支援)機能というものが必要となります。早稲田環境研究所はまさにその仕事を行っている訳です。
例えば、我々が開発している小さな電気自動車を例にお話しすると、それを創ることで“何をやりたいのか?”というと、世の中に存在している“車のイメージを変えたい”と思って研究しているんです。単純に車を創って道路を走らせることなら、7〜8年前にできていたことです。しかし普及させるためには、社会システムを変えないといけない。そういう意味で火付け役としてのコンサル業務を行っています。
早稲田大学は早稲田環境研究所にとって、研究開発部門みたいなものです。先ほど例にお話しした電気自動車のプロジェクトで例えると、自動車の開発からナンバーを取得するまでは、大学でできてしまうこと。その先どうやって量産して、コストを抑えるか?どんな売り方をするのか?いわゆるマーケティングの部分は、早稲田環境研究所が主体となって考え、進めます。つまり我々は研究開発機能を予め持った状態で設立された会社であることが、他社とは違う点です。そしてその研究がベースとなって弊社の商材ができているのです。
しかし、実際のところ大学の研究室で作った物がそのまま商品化できるか?というと、そんな簡単にはできないので、カスタマイズ化する部分で時間やお金が掛かり、結構大変です。(笑)とはいえゼロから研究を始めなくとも、ある程度の研究成果を持っているのは我々の強みです。
研究成果が実際に商品化されるかもしれないという事を考えると、学生にとっては、研究に対するモチベーションはあがります。しかし、学生と社会人のスピードの感覚が全然違うことは大きな悩みです。大学では1年かけて成果を出せば良いことでも、企業としてはそんな時間はかけられない。設立当初はもっと学生と一緒にやっていたことも多かったですが、いまでは大学の役割と我々企業サイドでやるべき事の、線引きを考えるフェーズにきたと思います。